





Myth
影の世界。光の世界。影のない光の世界で、少年・田辺冥人は生きていた。ある日、彼は影を持つ少女・シモンと出会う。彼女は彼を自分の世界、つまり影に満ちた場所に連れて行きます。
みんなのMythの評価・レビュー一覧
![Metamon [JPN]](https://avatars.steamstatic.com/a808c99ddea7e882390f08e7c17d379c6a2faef7_full.jpg)
Metamon [JPN]
2024年06月19日
[quote]・“Circletempo”から2008年発売、公式ジャンル『影探しアドベンチャー』
・R18要素を抜いた全年齢版、定価だと公式等の販売サイトの方が安い
・プレイ時間目安:15時間~(AUTO未使用)[/quote]
[h2] [b] ある程度の理解と考察が必要な人を選ぶ同人ノベルゲーム [/b] [/h2]
✔ 同人発の本格ノベルゲーム。Steam外だと全年齢版が定価1,000円で購入できるので、実績機能とトレカ、他言語がある点を踏まえつつ、お財布と相談してほしい。ボイスなしではるが、定価で購入しても十分な内容ではある。残念なのは、R18版をsteamでは遊べないという点だけだが、Hシーンはしっかりと描写があるわけでもなく、物語上重要でもないのであまり気にしなくても良い。
✔ レビューでは「非常に好評」となっているが、[b]すんなりと購入するのは危険[/b]。私自身のフレンドを見る限り、半数以上は途中でドロップアウトもちらほら見られる。古臭いパロネタ&融通の利かないどこか皮肉が混じった偏屈主人公のセリフ回しは序盤の鬼門。じゃあ、終盤はどうなのかというと[b]難解なテキスト&要考察というこれまたプレイヤーを選ぶ内容[/b]となっている。あと、[b]“グロ描写も割とある”ので、耐性無い人には絶対におすすめできない”[/b]。
✔ ”難解なテキスト・要考察”とはどういう意味か。桃太郎で例えるならば、冒頭に少年と犬と猿と雉が歩いているシーンから始まる。桃太郎を知らない人は「この一行は何をしているのか」「なんで人間と動物が一緒にいるんだ」と疑問に思うはず。物語を進めていくと鬼退治をしているシーンやきび団子を動物に与えているシーンが流れることで「鬼を退治するための一行なんだな」「恩義を感じて動物達は少年についていっているんだな」と特に具体的な説明がなくても、話の筋が分かってくる。本作も物語の重要な部分について、小出し&時系列がバラバラに進んだりするので、ある程度の理解が必要な物語となっている。
✔ そして「なぜ鬼を退治する必要があるのか」という点については特に作中では語られない。鬼が人間に害をなす存在なのか、それとも悪い人間が善良な鬼を迫害しているのか、もしくは少年の大切な家族を奪った仇相手なのか…考察する余地がある一方で、モヤモヤが残るという点で人を選ぶ内容と言えるだろう。
✔ [b]「じゃあ、結論として面白いの?」[/b]と言われると「うーん」というのが私個人の感想。伏線回収がちゃんとされていると言えば聞こえがいいが、プレイヤー側の考察ありきな部分もある。[b]”おすすめ”できるのは、値段に対して十分なクオリティである[/b]からであり、じゃあこれが5000円とかだったら正直おすすめできないとは思う。
✔ 趣味に使えるお金は千差万別であり、値段やコスパありきで語るのはナンセンスだとは思うが、レビューで大絶賛されているような完成されたノベル作品として期待値を上げすぎないほうがよいかもしれない。一応、特に何も考えなくても物語の方向性やオチは理解できる。繰り返しになるが、この値段で遊べる同人ノベルゲーとしてはちゃんと最後まで遊べる完成度である。そういう意味でもグッド評価できる作品ではあるのだが…万人にお勧めできるゲームではないことは間違いない。

田中たけし
2022年01月28日
[h1][b]知る人ぞ知る同人発の大作ADV[/b][/h1]
最初にSteam版は翻訳代なのか価格が高めになっています。セール時以外は公式で購入することをお勧めします。
また、内容の核心には触れませんが、勘のいい方であればある程度の推察は可能になってしまう事をご理解ください。
2008年に発売された同人発のノベルタイプのADV。
本作にはR-18版と全年齢版があり、本レビューはSteam版(後者)を対象としますが、エロよりもストーリー重視の為どちらを選んでも良いと思います。プレイ時間は20時間程度。
[h1]本作の特徴[/h1]
多くの要素を内包する考察系のストーリーになりますが、端的に言えば多層的なメタ構造を扱った作品と言えます。
メタ要素・・・つまりキャラクターが物語の登場人物である事を自覚する演出は娯楽作品において当たり前に使われています。例えば、カメラ目線なんて言葉もあるようにほぼ全ての作品が多かれ少なかれ影響下にあると言えるでしょう。
本作はそんな売れ筋というか、良く知られた所だけでなくもっと広く構造自体の可能性を追求しています。この点の出来は同系統の作品と並べても突出しているように思います。
本作の特徴的な部分としてメタ構造を挙げましたが、それを抜きにしても神話的な題材をうまくリンクさせたストーリーは商業を含めてこれ以上凝った作品はほとんどないでしょう。
先述した通り多層的な物語なので人物相関図は複雑になりますが、いつでも閲覧できて適宜更新されていく機能があり、システムでフォローができている点は大きなプラスポイントです。
他にもサウンドや演出面も高水準であり、長所足りえます。
非常に同人らしい側面もありながら、品質に関してはほぼ全ての要素で同人の水準を大きく上回っています。
[h1]気になった点[/h1]
この項目で指摘する点は個人的にあまりマイナスと見なしませんが、本作の理解を深める為に必要と判断しました。
端的に言えば、マーケティングの観点・・・つまりエンタメ的な「掴み」に欠けるという事です。
いわゆる起承転結の「起」の弱さです。確かに本作の複雑さには意義がありますし構造上やむを得ない部分もあるでしょう。ですが、それが適切なスケールだったかは懐疑的です。
例えるなら、地球と宇宙は後者の方が壮大ですが、両者とも大きすぎて同じような認識になる事に似ています。地球で十分なのに複雑にしてまで話を膨らませる必要ある?という事です。私の主観だともう一層小さくまとめるかもう少し設定を簡潔にした方が良いと感じました。この辺りが引きが長くダレやすい原因ではないかと思います。
「とにかく凄い作品だから、序盤はとにかく耐えろ」と言われても、この手の作品は大体そうですし多くの人は失敗体験もあるでしょうから、ある程度の事前情報は欲しい所なのですが、本作でインパクトのある場面はネタバレを避けられません。人気作はこの課題を何らかの形で克服したものが多く、それがそのまま差になっているように思います。
ここでタイトルロゴを見てください。クリアした方ならデザインの意図は何となく理解できるのですが、未プレイの方は単色だし地味に映るのではないでしょうか?
かように作品に込められた潜在的価値は傑出しているものの、本作はあまりに質実剛健で不器用過ぎました。
[h1]まとめ[/h1]
品質は申し分ない。考察系が好きなら是非。
一般受けという観点からはお薦めできないとなるのでしょうが、
これ程の作品にBad評価をするなんて到底考えられません。
評価上傑作にはわずかに足りませんでしたが、傑作とした多くの作品よりも好みですし、強烈な印象を残しました。
本作を称賛せずしてどうするって感じなんです。
本格的な考察系のノベルは下火であり、どれだけ需要があるかはわかりませんが、願わくば求める人に認知され行き届いて欲しいですね。

elltar
2018年11月26日
ノベルゲーム。
影のない世界に住む主人公 田辺命人が変わらぬ生活から世界に疑問を持ち、声に導かれるまま影の世界に行くところから始まる物語だ。少しネタバレすると本作は「ループもの」の物語だが他のループものと比べると一線を画した内容になっている。虚像に満ちた世界、存在の儚さ、意志の介在、並行する複数の物語、交錯する世界、細切りにされた時系列、メタ的表現…など難解なストーリー構成になっている。全ての謎が明らかにされているわけではなく、プレイヤーの推測に任されている部分もある。
劇中でのキーアイテムとなる「ノート」が読めるようになっており、ストーリー進行により内容はアップデートされる。また、登場人物の相関図もあるのでストーリーの理解に役立つと思う。
正直、序盤の展開は退屈でキツイ。昔のギャルゲーみたいなノリと並行してカニバリズム全開のキチガイストーリーがずっと続くからだ。しかし、朧げな世界観と目的らしい目的が描写されてからは話が進んでいき、他の世界の物語が絡んでいくことにより謎が謎を呼び、楽しく読むことができた。最後は予定調和に物語は完結するが、ある意味、最初から終盤まで主人公は運命に踊らされたようにも思えるため、割り切れない思いがした。そもそも物語の始まる前から…。しかし、主人公は自らの意志で行動し、その結果があの最後の選択肢なのだろうと思えば感慨深いものがある。
退屈な序盤を許容でき、考察を楽しみながら読んでいくことができるのならオススメのゲームだ。

USKuraii
2018年08月17日
高評価+ADV好き+セールで安かった、為に購入
序盤の影の無い規則が全ての世界から、影の村での生活に入る流れから
主人公のちょっと強引かな?とも思える行動+ストーリー展開に違和感を持ちつつプレイを止めようか止めまいか迷いながら、しかし皆さんの高評価を信じ、なんとかEp3を終えました
結論としては、面白い部分もあるのだけど理解が追いつかない為、微妙なところ
セカイにセカイが重なり、更にその上には造り手が、みたいな。内容やジャンルは違うが、クリストファー・ノーランのインセプションですらまともに理解できない自分の頭には、この物語は難しすぎたのかもしれない
思うに、冒頭の展開、頭の中に響いた声が気になるから謎のピンク髪の少女が開いた怪しいゲートに飛び込むぜ、ここの動機づけが自分の胸にしっかりと落ちきっていないまま、そのまま異世界のような場所での生活となる為、そんなことより家帰らなくていいのか?と言う心の声に反しながら主人公が動いている。この違和感、というかモヤモヤ、そういったモノがずっと序盤からラストまで解消されなかったように思える
いや、それこそがゲーム作者の狙いだったんだよ!とか、ストーリーの中盤以降で主人公は物語の●●ってのが明かされるからわかるでしょ!と言われるかもしれないが、なんとなく朧気に理解し始めたところで、全く別の世界に飛ばされる展開が続く為、まさに他の方のレビューに書いてあるような置いてけぼりになってしまった
否定的な内容だらけになってしまったが部分部分では面白いところもあるし(特にハードボイルドな世界のところなど)ここまでプレイヤーを突き放し置いていく勢いってのは凄い。同人の良さが出ているようで好きだし、応援したい
テキストを読み込むタイプでは無く、さっさっと読んで進んでいくタイプにはオススメしない
我こそは、と名乗る考察タイプの方にオススメ。そしてクリアして満足した後、解説サイトでも作ってお馬鹿な僕に色々と教えてください(笑)

UNG/底辺あんぐ
2017年12月26日
[h1]ネタバレ無しには語れない大作同人ノベルゲーム[/h1]
2017年にプレイした中では一番面白かったノベルゲーム。
というか個人的に同人ノベルゲームでは数年ぶりのスマッシュヒットである。
まず、公式サイトに体験版があります。
それをプレイして、面白かったら即買いせずにはいられない作品。
公式HP
https://www.circletempo.net/myth/
上記の理由でここ以下は全てネタバレ含む。
異世界・暴力・猟奇・狂気・ゴア・カニバリズム・北欧神話・ループ
などの要素を含み、人を選ぶ作品。
ひぐらしやシュタゲ(ニトロ)のようなタイプのノベルが好きな人はハマると思われる。
プレイヤーの考察無しには物語の全体像が見えないタイプの作品なので、ノベルゲー上級者向け。
補助として人物相関図とノートという存在があるが、
やはりプレイヤーに考察能力を求めるタイプのゲームである。
公式ではプレイ時間20時間程度とのことだが、おまけを含むとプレイ時間はそれを超えるボリューム。
体験版だけでも8時間。
別途におまけのマルチエンド版なども公式で無料配布している。
序盤は、まともな思考回路を持ち合わせていない主人公や、飛び交う駄文奇文で
「クソ(シナリオ)ゲーか?」
という苦痛を味わうことになるのだが、
物語の本編開始のトリガーが発動するとジェットコースター的に面白くなっていく。
瞬間最大風速はかなりのもの。
序盤のクソっぷりも伏線というしたたかな展開だったのである。
しかし、そこはまだ本編の入り口ですら無いという圧倒的展開には脱帽。
何度も仕切り直しを得て、どんどん新しい展開を繰り出してくる。
いくつもの世界が一つに収束していく展開は、
作者は確かな文章力を持っているということを思い知らせてくれる。
ただそれゆえについてこれない人は、とことん置いていかれる部分でもある。
一応18禁版というのもあるのだが、公式通販ページに「実質全てのサービスシーン(SS×2)」が載っている。
いわゆる公式のネタバレである。
ただ、18禁といっても明確なエロシーンは無い。
つまり一般版とさほど変わらない。
というか私は18禁版を購入して読み終わってレビューを書きたくてSteam版も購入したところもある。
それくらいこのゲームには価値がある。
埋もれさせておくのは惜しいと思った。
このゲームは2008年のモノで画面サイズが小さくフルスクリーン必須なのだが、
オリジナル版は今時のHD対応(16:9)モニターだとCGが横に伸びてしまって見苦しかった。
Steam版はオリジナルサイズを保ったままフルスクリーンに出来るので、それだけでも価値がある。
こういうゲーム特有の考察サイトも少ないながらあったので、クリア後に見てみるとすごく面白くて、
私はSteam版で2周目に入ることにする。

AliceーRebellion
2017年06月17日
[h1]人を選ぶが、まさに"埋もれた名作"[/h1]
同人サークルCircletempoの『MITH-ミス-』の全年齢版。
プレイ時間は15~20時間。
ヴォリュームも作りこみも完全に同人レベルを超えている。
所謂、考察が楽しいタイプの難解なシナリオのADV。
ヴォリュームの多さも相まって名作ADVらに引けを取らない満足感。
[h1]難解な英語長文問題の如し[/h1]
このゲームの何がすごいって、決して電波シナリオで無いにも関わらず、びっくりするぐらいプレイヤーを置き去りにしていく所だと思う。ここを楽しめるかどうかが分かれ目だと思う。
普通に読み進めていて大まかには理解できるのだが、唐突に起こる意味不明で繋がりが分からなくなる発言やエピソードのせいで置いて行かれ、とりあえず主人公の目先の目的に付いていく感じで進む。
しかし、プレイ後にふとシナリオを思い返してみると、分からないことだらけで結局、大筋しかMYTHを理解できないことに気付く。
悲しいことにプレイヤーが少なすぎて作品専門板やレビューサイトの考察を読んでも私の場合は100%の納得には達しなかった。
また、考察する上での難点として序盤が若干だるいのと、ヴォリューミーな点が相まって2,3周するのに気力が要る...
[h1]ADV好きにはまず一読お勧めしたい[/h1]
正直ストアページだけだと若干の地雷臭。
しかし、知名度の低さと絵で敬遠するのはあまりにも勿体ない。
私の場合、「影」の世界のほのぼのした雰囲気と幕間劇のグロテスクでダークな雰囲気のギャップに興味が湧き、EP1:10日目あたりで完全に引き込まれた。
その後は?マークの連続だったが、MYTHも完全にプレイヤーを置き去りにする訳では無い。終盤にかけて主人公らの話をちゃんと聞いていればシナリオの主軸には付いていけるので大雑把には楽しめた。
この適度(最低限?)な親切さもMYTHの良さかと思う。
音楽等の演出も素晴らしい。[strike]おかげで終盤に理解が若干追いつかなくても結構ノリで楽しめる。[/strike]
Circletempoの公式サイトからEP1の1~20日をプレイできる体験版もあるのでそちらを先にやってみても良いかもしれない。