








Telling Lies
4人の私生活。大きな嘘が一つ。密かに記録されたビデオ会話を検索して真実を発見してください。高く評価された Her Story の後継作。
みんなのTelling Liesの評価・レビュー一覧

Haco Slacker
2019年08月26日
インゲームにVer.表示なし。約6時間で初回クリア。全実績解除まで約14時間所要しました。前作Her Storyもプレイ済み。ファイルサイズは約6.1GB。
[h1]Pros:[/h1][list]
[*]俳優の演技
[*]多角的な視点で形作られていく物語
[*]ディスプレイの前の演出[/list]
[h1]Cons:[/h1][list]
[*]検索語句が残ったままになることがある
[*]特定の文字が入力できず消える(日本語)
[*]メモ帳の記入内容が正しく保持されない
[*]早送りや巻き戻しが遅い
[*]映像を冒頭から再生する手段がない[/list]
[h1]操作性とローカライズに難はあるも時系列の入り乱れた探索的な物語は健在[/h1]
Her Storyをプレイされた方はご存知だとは思いますが簡単に概要を説明すると、数十秒から長いものでは10分近い映像アーカイブが収録されたDBストレージに対して任意の語句を検索入力します。映像の会話内容はメタデータとして保持されており、該当する語句が含まれていると最大5件まで同時に映像を探すことができ、閲覧することができます。日常的に使われる言葉で検索すればヒットはしやすいですが、候補がたくさん現れるといったことになるため、意図した映像を抽出するためにユーザーは最適な語句を考えて選ぶ必要があります。最初は手短な情報しか得られませんが、新しく見つけた映像の中から別の映像に繋がる手掛かりを得て、事の真相に迫っていきます。
率直な感想を言えば、サスペンス映画などを見慣れているとHer Storyよりも話の筋は掴みやすかったように思います。本作では独白が少なく、ほとんどの場面に対となる対話者がいます。単純に話す量が半分になれば、得られる情報量が半分になったり、下手をすると聞くばかりになって情報がほとんど得られないといったことも生じます。ですが、複数の人物がいるので疎となる筈の断片的な情報の数を集めやすく、状況的な証拠からおおまかな形が想像しやすく感じられました。登場人物、俳優陣の演技に関しては流石本職と言うべきか、のめり込んで見ていられます。
本作では検索した語句の位置から映像の再生が始まるため、私が気付いていなかっただけかもしれませんが、冒頭から見たいと思ったときに素早く巻き戻す手段がないのが手間でした。巻き戻しや早送りも三段階の速度が用意されてはいるものの、最大速度がそれほど速くない点は頂けませんでした。また起稿時点では、日本語でのプレイに既知の不具合があると言われています。私が遭遇したのは、分かりやすいものでメモ帳の内容が正しく保持されないものや、一度入力した語句が別の映像を再生するまで消えなくなるもの、「幻」「如」のような入力しても表示されないフォントがあるもの(使われると想定していなかったもの)です。本作は入力した語句で別の場面に繋げるという仕様である以上、それが正解でないにしろ思った語句が入力できないとすぐ違和感に気付いてしまいがちです。(修正中とありますので、これらはそこまで気にしなくてよいかもしれません)
日本語でのプレイに不具合があり一方的に不利かと思いきや、言語的に優れているところもあります。英語は単語ごとにスペースを挟み、単語ごとに独立している形になっています。日本語は漢字+平仮名のような形で、漢字1字でも、漢字+平仮名でも別の意味を持つ場合があります。「熱」「熱い」であれば、「熱」だけを入力することで両方拾うことができますし、「悪かった」「美しかった」「凄かった」であれば「かった」さえ入力すれば全部拾える可能性があります。本作ではメタデータと部分一致しているかしか見ていないため、英語よりも遥かに早い段階で物語の核心に迫ることができます。ただ、そうした言語的な特性と仕様に気付いていれば、ローカライズの時点で同じ単語を同じように訳すことはできたと思いますが、場面によってバラバラだったりするのはきっと作業担当者違ったんだろうな、とか想像したりします。
本作で全ての動画を見ようと思うと、リプレイ性はそれなりにあります。私のように英語のヒアリングが得意でない人には一部聞き取りづらいもの(80_A)もあります。サウンドは本作においてそこまで大きく印象に残りませんでしたが、それは俳優の演技を前面に出すための意図的なものだと思われます。エンディングは合計3種類でどれぐらい映像を見たかによって短いものから長いものへ派生します。クリア後に、動画を対話として見せるものが仕組みとして用意されていれば、もっと評価されたのではと思います。物語はHer Storyよりも分かりやすいと記載しましたが、断片的に得られる情報から主軸となる物語を推測し、想像した通りのものであるかを確かめるワクワク感は健在です。サスペンスドラマが好きな方にはオススメです。また実績も比較的集めやすいと思われますので、実績好きな方にもオススメです。2000円ぐらいしますけど、映画1本見るよりは長時間遊べますよ。

yupika@スト6練習相手ぼしゅう
2019年08月25日
[h1]潤沢な金を使って、やりたい表現をやりきった作品[/h1]
her storyとの比較は別の方がされていて、その方のレビューは素晴らしいと思うのですがストーリー面での解説はしないとのことなので、私はストーリー自体に触れませんがそれも含めてレビューします。
別にネタバレはしていませんが読んで怒る人がいるかもしれないので一応ネタバレる前提でレビューもお読みください。
まず、明らかに規模が違う作品となっている、これは素晴らしいことです。
映画界で言えば最近ならジョーダン・ピールでしょうか。キアヌという映画をダブルヘッダで監督したあと、ゲット・アウト(まぁまぁ低予算)で一発あて、次のアスはもう全然違う予算だとひと目でわかる映画になっております。
そう、当てた人間には予算が支給されるべきなのです。
さて、とはいっても総カット数は100。これは前作同様という数字です。
つまり、ゲームの肥大化は行っていない。これが重要です。
色んな部分を拡大したところで散漫になりかねないシステムです。
見落としを再度見たい場合、プレイヤーは自分が見ていた動画を思い出せなくなるし、脚本は慎重なヒントを作らざるを得なくなります。そうではなく、密度にお金を使ったんですね。
その密度というのはなにか、一つは、トレイラーでもはっきりと興奮してしまう、複数の登場人物という要素ですよね。
もう絶対、間違いなく、情報量があがるんです。楽しくないわけないじゃないですか。
そしてもう一つはセット組み・効果等の演出の細部まで行き届いた表現です。これも素晴らしい。前作では固定画面で服装など変えて様々な表現をしようとしていました。前作には前作の、低予算なりのひねった良さがありますが、今回はカメラを持って人物が歩き回るし、野外や車、モブがいるなんて意外な場面もたくさんあります。
そこにはもはや前作で感じたゲームの「情報」としての存在だけの役者や台詞ではなく、一本の映画の出演者たちであり演技には迫るものがあります。
推理小説からミステリー小説になったって感じかな?
前作の完全に把握した!と捉えた瞬間のカタルシスはないかもしれませんが、その分ストーリー全体からずっしり来る全体の重みがあります。
ストーリー自体は期待したものがあると思っていいです。
HerStoryも決して一筋縄では行かない、愛憎の裏表の物語でしたがこちらも決して一口には言えない人の心の機微というものが現れています。
作家性のところをこのまま書き続けるのは大変ですが、ただ凝った物語というものではなくゲーム性に合致した主題がある、というのがこのゲームを(映画的だのなんだの言いましたが)ゲームたらしめるものだと思っています。
それこそが私の思っていたものです。完全に大人向けで、子供を突き放す物語であることこそが間違いなくプレイに値するゲームの骨格となっていると言えるでしょう。
良いことを書きすぎました。
一方で、一般的な尺度の「ゲーム」のプレイアビリティとしてはどうでしょうか。
先程書いた映画として、リアリティをもたせるために今作ではAさんがモニターに向かって話している動画とBさんがモニターに向かって話している動画が別々にあります。例えばBさんが一方的に話している場合、Aさんはずっと何も言っていない時間が2分とかあるわけで、映像作品としてはリッチな時間の使い方ではありますが、ゲームとしては少々不満に思います。
当然早送りなども出来るのですが、早送りでさっさと見ていいの?ということですね。あと早送りで行き過ぎて戻ったりするのも単純に結構なストレスです。今作では送り戻しはあってもスキップはないんです。
UI自体は前作を踏襲し、なおかつ見栄えや操作性はあがっているのですが動画の時間のバーがなく位置スキップができないのだけ残念です。
また、翻訳・字幕周りには多数の問題があります。
たとえ映画基準のゲームを作ったところで、翻訳は日本語を画面に出しときゃいいんだ問題あったらそのうち差し替えるわ。しらんけど。
という態度がありありと見え、本当に不快です。
まずタイミングの補正がない。字幕が一瞬で通るところがあり、0.5秒で20文字くらい読ませようとしてきます。
そりゃ、止めれば読めますよ。でもちょっと後ろの字幕のタイミングずらせばいいだけじゃないですか。
なんでそれをユーザにやらせるわけ?
タイミングは英語の字幕のタイミングと全く同じで、例えば英語では一言のところに日本語では別の文章をもたせてたりするのかな。そこまでの確認はしていないです。
つまりタイミングの問題は英語でも読みづらい可能性はあります。
しかして一番ありえないのがなんとこのゲーム、なんと[b]エンディングに脱字があります。[/b]
これはもう興が醒めるという言葉を一日三回辞書で引いてほしいです。
エンディングですよ。しかもすごい長いエンディングとかではなくて、文字数で200字ないんですよ。
ありえなくない?
今でも「確かみてみろ」が笑われてるのをなんとも思わないんです。同じ轍を踏みに行く。
作った人の気持ち考えたことないんでしょうね。普通だったら「最終回がこれじゃ悔しいだろうな」とか思いますよ。
笑ってる側ですかね?いやーありえない。ゲーメスト編集部レベルの仕事が2019年まだ存在を許されるとは。
「それだけのことで」と思っていませんか?
これをそこまで問題視出来ないというのは「所詮インディーズゲーム」という貴方のゲーム観、自分の仕事への蔑視に他なりません。
普通ならどういう方法をとっても謝りますし、即日直しますよ。
世の中には校閲という仕事があり、大抵の出版社や字幕については校正を通して完成形にしています。
それすらしていないということですよ。コストカットですか?安倍政権が悪いんですか?消費税がテンパーになったらさらに字幕の文字数も減りますか?
全てのゲームメディアは真の素晴らしいゲームについてもっと理想を高くもち、啓蒙すべきです。
本作の作者は明らかに映画基準のセット・演技をスタッフに求め続けています。
ならば映画基準で応えるべきではないでしょうか。
少なくとも私にとって、この素晴らしいゲームが日本語になることでその素晴らしさランクが大きくさがる理由がただ日本語というのは我慢できません。戸田奈津子の亡霊が今も日本の翻訳シーンを支配しているのです。
あなた達にとって翻訳、及び字幕というのがどういった”程度”のものなのかよくわかりました。
そんなところでしょうか。

Tachinsan
2019年08月25日
一応クリアしましたので感想を述べますと
前作よりも金かけている感じが出ています。
特にロケーションなんかも増えてるし
ハリウッドスター使ってるのでとにかく長い演技シーンは
早送りしないと間延びしてしまっていた。
操作性は前作と変わらないが
「あ」とかだけでまとめて検索結果が表示されないように
なった点はやはり前作のことを考慮してなのかもしれない。
ただ、ストーリーが思っていたよりも
分かりにくく理解するまでには
至らないかと思う。
このゲームに限っていえば
「正解」を自分で見つけて
「ワード」を拾っていくゲームなので
必ず答えは調べた映像の中にあるというのは
読解力が試されているんだと思います。
一応ある程度進めると「アップロード」という
選択肢が出てエンドロールになります。
事件の報告書なんか見ても
意味不明な部分もあったりします。
もしかしたら全部のピースが揃わないと
報告書もおかしな点しか表示されないというのかな。
2000円くらいで遊ぶにはいいですが
前作よりもストーリー複雑化しすぎたのは
ダメだったと思いますね。

Galvez
2019年08月24日
断片的な実写映像を自由なキーワードで検索して視聴することで
ストーリーを組み立てていくアドベンチャー。
本レビューでは前作『[url=store.steampowered.com/app/368370/Her_Story/]Her Story[/url]』との違いに着目していく。
[h1]序盤の手探り感がアップ[/h1]
前作では「過去の殺人事件の証言から真相を明らかにしていく」
という目的が最初から明確に提示されていたのに対して
本作ではなんのために映像を検索し視聴しているのかが
明確でないところからのスタートになった。
[h1]登場人物やロケーションの増加[/h1]
本作ではメインキャラだけで4人、脇役も含めれば10人以上の人物が
映像に登場するようになった。
撮影場所も屋内外・乗り物の中など多様になった。
[h1]「証言」ではなく「会話」へ[/h1]
本作の映像は一方的に話すだけの「証言」ではなく、登場人物同士の「会話」になった。
ただしひとつの映像ファイルで映像と音声が再生されるのは片方の通話者だけなので
「会話の相手は誰なのか」を考える必要が出てきた。
相手の話を聞いているだけの時間も増えたため、ややテンポが悪くなった面もある。
[h1]操作面[/h1]
映像の早送り/巻き戻しが可能になり、再生中の字幕から直接検索も可能に。
シークバーは廃止され、長い映像の特定の場所まで移動するのが手間になった。
[h1]ボリュームの増加[/h1]
エンディング到達までの所要時間は前作は3時間程度、本作は5時間程度だった。
[h1]総評[/h1]
前作のゲームシステムを受け継ぎながら現代的に進化。
映像のテンポの悪化やシークバーの廃止など前作より見劣りする部分もあるが
ユニークなプレイ体験のできる良作アドベンチャー。
前作同様プレイングに難しい推理などは必要なく
気になった単語を自由に検索していくだけでエンディングまで到達できる。
登場人物が増えたが個性がはっきりしており役者の演技も見事。
なお一周クリアしただけですべての映像を視聴していない現時点では
解明が十分でない場所もあるのでストーリーの批評は差し控える。