






Battle Chess: Game of Kings
誰かがチェスをより良くするのに 2,000 年かかりました。 地球上で最も挑戦的なゲームがバトル チェスで実現します。戦争中の中世の世界全体が市松模様のフィールドに反映されています。
みんなのBattle Chess: Game of Kingsの評価・レビュー一覧

Arui Kashiwagi
2017年04月22日
今となっては珍しくもないアーリーアクセスの失敗例の一つ。
『Battle Chess』といえば1988年に発売された往年の名作である。言ってしまえば普通のチェスに擬人化アニメーションをつけただけなのだが、当時の水準ではなかなかのインパクトがあり、日本のPCを含め様々な機種に移植された。
そしてこれはそのオフィシャルリメイク。もちろん今の時代チェスならフリーのものがいくらでもあるし、ポリゴンキャラを動かしたくらいじゃ誰も驚かないが、しかしチェスソフトがありふれている時代だからこそ「一つ選ぶならあの怪作の再来を」という声が出るくらいの需要はあったのだ。
かくして2011年に開発がスタートしたわけだが、彼等はほどなく資金難に陥ったらしい。Kickstarterに救いを求めるも目標額の16%しか集まらなかったり、デベロッパが逃亡して別会社に交替したりというすったもんだを経て、ようやく2014年春にアーリーアクセス版が発売された。$9.99であった。
ひとまずはトレイラー通りのゲームプレイを披露できており、悪くはない滑り出しだったと言える。収録コンテンツは少なかったし、リプレイなどの基本機能も欠けていたものの、そこはアーリーアクセスということで今後に期待できる部分だった。
しかし明確な問題が一つあった。とにかくクラッシュするのである。AI相手でも3戦に2戦は落ちる有様であり、ましてやマルチを完遂することはほとんど不可能だった。
それでも最初の一ヶ月はパッチが出ていたのでまだ望みがあった。しかし二ヶ月目には早くもアップデートが止まり、たまの「Sorry for the delays!」という言い訳以外には何の進捗報告もない状態が続くと、さすがに楽観的なファン達も事態を察し始めた。
待つこと九ヶ月。久々に出たパッチは何も変わらなかった。いくつかのバグは潰されたのかもしれない。だが相変わらずゲームはクラッシュしていた。
そこからさらに一年が経過した頃、唐突に製品のステータスが「正式リリース」に変わった。機能やコンテンツは一つも増えなかったが、値段は三倍になった。「今度こそ全部のバグが取れたと思います!」というアナウンスと共に最後のパッチがリリースされたが、相変わらずゲームはクラッシュした。
こうして伝統ある『Battle Chess』のIPは終了した。
先日久しぶりに思い出してこのゲームを起動してみた。5戦中2戦しかクラッシュしなかったので、最終パッチには若干の効果があったのかもしれない。だが三年前から報告されていたテクスチャが剥げるバグは依然そのままだった。棋譜を保存する方法がないのでどんな勝負だったかはもうわからない。
ちなみにSteamで販売されている『Battle vs Chess』は本作とは何の関係もない類似品である。あまりにもまんまだったため版権元のInterplayから訴えられ、アメリカではタイトル変更と賠償金の支払いを余儀なくされている。でもレビューを見た感じ安定性もコンテンツもあちらの方がはるかに優れているようなので、もうあっちだけでいいんじゃないかな?