





Skábma: Snowfall
自然のリズムが危機に瀕しています!あなたは若いサーミ人のアイルです。平凡なトナカイ放牧の一日が冒険に変わります。サーミのヒーラーであるノアディ族の昔ながらの方法を学びましょう。ノアディドラムとファミリアスピリッツの力を利用して、全土に広がる混乱と戦いましょう!
みんなのSkábma: Snowfallの評価・レビュー一覧

cHeeSy
2024年12月27日
北欧でトナカイを飼いならし生活しているサーミ人のアイルはトナカイの番をしている最中に昼寝をしてしまい一匹を脱走させてしまう。それがミヒカルおじさんの怒りを買い一人で探しに行くことになるが、トナカイを見つけたその瞬間、爆発とともに地割れが起き洞窟に転落してしまう。そこで偶然見つけた一つの太鼓。アイルが手に取り打ち鳴らすと目の前に守護精霊が現れ、自然の均衡を取り戻すよう言いつけ消える。過去と現在と未来をつなぐ不思議な力をもった太鼓を使い地上の汚染を浄化しながらアイルは偉大なる預言者であり治癒者である「ノアイディ」として成長していく。
北欧で伝統的な遊牧生活を続けるサーミを題材とした三人称のアクションアドベンチャーゲーム。不思議な太鼓を使い精霊の力を借りることで可能となる様々なアクションを駆使しながら汚染された地上を浄化していく。基本的にはアドベンチャーゲームとして拠点を中心に多様な問題解決のために自然を巡ることになるのだが、険しい自然を駆け抜けるためのジャンプアクションや僅かばかりの敵との戦闘がプレイの中心となる。
そして本作で特に注目すべきはサーミの文化を投影したストーリー設計だ。例えば主人公が目指す「ノアイデ」はサーミのシャーマンを指す言葉で、シャーマンが太鼓を打ち鳴らすのはトランス状態に陥り精霊と対話する儀式として実際に存在する。誰かが病気になったときその魂は肉体を離れている、という考え方もサーミの宗教観を正しく表現している。また、作中では詳しく語られないが、主人公が取り除いていく「汚染」はチェルノブイリ原子力発電所事故を指していると推察でき、現実でも大きな社会問題となったトナカイの放射能汚染を取り扱っているのではないか。本作で汚染が始まるきっかけが大規模な爆発で演出され、これはサーミの歴史を鑑みると整合性が取れている。
このようにあまりゲームで取り上げられることのないサーミの生活や文化、さらには宗教観や伝承なども上手くゲームに取り込んだ本作はその独自性という点で評価されるべき作品となっている。しかし一方でアクションパートは難しく設計されており、タイミングや操作がシビアで落下死によるやり直しを何度も強いられることになりせっかくの世界観やゲームプレイのリズムを台無しにしてしまっている。ちなみに私はクリアまでの5時間で死亡回数は60回を超えた。彼らの伝統的な音楽や次作を匂わせる不穏なエンディングなどアドベンチャーゲームとしては興味深く面白いのでおすすめとするがクリアには多少の忍耐が必要になる。