Snufkin: Melody of Moominvalley
『スナフキン: ムーミン谷のメロディー』は、一連のグロテスクな公園が出現してムーミン谷の自然のバランスが崩れてしまった後、スナフキンがムーミン谷の調和を取り戻す必要がある音楽アドベンチャー ゲームです。このゲームは、子供と大人の両方にとってアンビエントで健全な体験であり、オープンワールドの仕組みとパズル、ステルス、メロディックな要素を組み合わせています。
みんなのSnufkin: Melody of Moominvalleyの評価・レビュー一覧
belfaste
2024年03月10日
フィンランドの国民的作家、トーベ・ヤンソンの生み出した『ムーミン』シリーズをベースにしたアドベンチャーパズルゲーム。プロットはいちおうオリジナルですが、かなりの部分は第五作目の『ムーミン谷の夏祭り』にインスパイアされているとおもわれます。
ちなみに他にムーミンのゲーム化としては『ムーミンの大冒険』(ゲームボーイ・カラー、2000年)や『ムーミン谷のおくりもの』(ニンテンドーDS、2009年)などがあります。
本作の主人公となるのは緑の帽子がトレードマークの風来坊、スナフキン。ムーミンたちが冬眠に入る冬のあいだ、彼はムーミン谷を離れて旅に出ることにします。「戻ってきてくれるよね」と心配げなムーミントロールに、スナフキンは「ああ、かならず!」と答えて谷を発ち、季節を経てようよう戻ってきたスナフキンが目にしたのは…………禁止看板と柵で囲われた公園と、干上がった川でした。管理社会と私有財産と看板と柵をなにより嫌うスナフキン(彼が看板を引っこ抜く描写は原作にもある)は、怒りに燃え、看板を引っこ抜き、芝生から石畳を剥がして投げ捨てます。そして、谷に起きた異変と行方不明になったムーミンを探りにいくのでした……というあらすじ。
基本的なゲームプレイとしては、舞台となるムーミン谷をわりかし自由に行き来しつつ、キャラクターたちから出される(メイン+サブ)クエストをこなしていくというもの。クエストを完了すると経験値をもらえ、レベルがあがっていくと行ける場所も増えていきます。メトロイドヴァニアがアビリティで行ける場所をゲーティングしているのに対して、さしずめこちらはレベルゲートとでも呼ぶべきでしょうか。アクションの操作感もなにげに軽快できもちいい。
クエストのあいまには公園の破壊ミッションも挟まり、こちらは公園の警備員たちの目をかいくぐって看板ひっこぬきを行うスニーキング形式のミニゲームになっております。
スニーキング以外にも節目節目で細かいミニゲームも入ったりなんかして、何かからの逃走であったりちょっとしたパズルであったり木の棒を川に流して行うレースであったりと、意外とバリエーション豊富。
いずれのミニゲームも難易度はあまり高くありません。特にスニーキングについては見つかってから追いかけられる工程が挟まるため、意外と力押しでもどうにかなりそうなところも多そうで、スピードランなどの際にはうまいことハッキングされちゃいそうな予感がします。
ここらへんはかなり広く間口をとっている印象です。
アクションパズルとしての手応えをあえて弱めてまで敷居を低くしたのは、おそらく、構築した世界に制作チームが自信を持っているからでしょう。本作のムーミン谷の雰囲気は圧倒的です。絵本風のグラフィック、のどかな音楽(テーマソングにあのシガー・ロスも参加して北欧風味を強めてくれます)、クオリティの高いカットシーン、原作でおなじみのキャラたち、そして「ムーミン」らしいダイアログ……たしかにプレイヤーに「自分はいまムーミン谷にいる」と感じさせてくれます。
そして肝心のストーリーについては……正直、途中まで不満でした。「いなくなったムーミンを探す」というのが本作のメインの筋なのですが、これがまあ、「A地点にムーミンがいるらしい」→「A地点にいくために必要な条件をそろえる」→「A地点に到着」→「すでにいなくなってしまった。今度はB地点にいるらしい」→…………というのを繰り返させられるだけで、テンポとしても単調だし、そこで展開されるストーリーにそこまで濃密さを感じられない。キャラクターごとに課されるサブクエストも、非常に簡素なものばかりで、キャラクターとしての個性に深く切り込んでいたり、親密な関係を築けるといったようなこともない(後者については原作で既に関係ができあがっているうえ、スナフキンのキャラも絡んでくるので難しいところですが)。
コミック的なキャラクター商品のイメージをもたれがちなムーミンシリーズですが、原作はかなり色々なことが矢継ぎ早に起こる冒険物語です。その点、本作はどうもこぢんまりしすぎていて、悪く言えば「置きにいったキャラゲー」のきらいすらありました。
しかし、その印象は終盤で覆ります。やはり『ムーミン』とはムーミントロール自身のことなのであり、本作は「スナフキンとムーミン」の友情の話なのです。ゲーム的なアクションを活かしたあんなに感動的なシークエンス([spoiler]足をくじいたスナフキンをムーミンがおぶって運ぶ、ふたりでいっしょにダムを開放するためのレバーを引くなど[/spoiler])を見せられたら、そりゃじんとくるでしょう。
とはいえ、ムーミンシリーズを活かしきった卓越した感動物語!とかキャラゲーとして満点!とまでは言えません。ムーミンにあえないストレスを最終盤の展開で帳消しにできるかといえば、やや疑問が残るところ。60点だったものが70点に引き上げられたくらいの感覚でしょうか。
とはいえ、ムーミンシリーズのエッセンスは押さえているといえますし、原作の強火ファンからキャラクター商品としてのムーミンしか知らない層まで、(難易度的な点を含め)ひろく楽しめる一作となったのではないでしょうか。
細かい部分で個人的に気に入ったのは、特定のゾーンに侵入するとまとわりついてくる「森の子どもたち」のところ。まとわりつかれると、アクションが制限されてうざったらしいのですが、追い払ったあとに森の子どもたちの協力が必要な場面で出てきます。こういう人をジャッジしないクールなやさしさが、本作の世界全体にも貫かれていて、心地良いですね。
Toyoch
2024年03月09日
プレイ状況:4時間でクリア、実績すべおめ済み。
TLDR : 低難易度でストーリーはやや短めだが、ムーミンが好き、雰囲気が気にいった人なら十分楽しめる。
フィンランド生まれの絵本/小説/漫画/アニメ「ムーミン」シリーズの人気キャラクター、スナフキンとなってムーミンの谷の異変を解決し、親友のムーミントロールを助ける話。
原作キャラクターが数多く登場するが、その強烈な個性やセリフ回しは変わらず。
ゲームプレイは基本的に、ムーミンの谷とニョロニョロの島を探索、楽器の力や周囲にあるオブジェクトを利用してクエストを解決していく形。
楽器はハーモニカ、笛、太鼓の3種類がストーリー進行で解禁され、特定の場面やオブジェクト/動物に対して使用できる。笛は使用している間移動できなくなる(移動操作で向きを変える)が、ハーモニカと太鼓は演奏しながら動けるので賑やか。楽器に演奏レベルがあるのだが、ちょうどいいペースでレベルが上がるし、レベルが影響を与えるのは楽器が影響を耐えられる物体(進行ルートや一部クエスト)だけとなっている。
たまにステルスパート(見つかっても少し戻されるだけ)やチェイスパート(捕まっても戻されるだけ)があるが、急かされる要素やリトライの可能性、およびアクション性はこれらのシーン以外に無く、パズルも簡単なものばかり。
一番時間を取られるのは探索関係か。
原作のタッチを感じるアートデザインと音楽がとにかく良い。これだけで定価の価値はあると思う。
日本語は架け橋ゲームズが担当、かなり力を入れたもので良質。
Switch物理版(限定版もあり)も架け橋ゲームズが出す予定となっている。
実績はほとんどが探索とクエスト系だが、[spoiler]序盤でモランに追われるシーンで、一度も捕まらず逃げ切る[/spoiler]実績だけは挑戦できる期間が限られている(+セーブデータの仕様上、逃すと最初からやり直す必要がある)ので要注意。
最後の最後で進むかどうかの選択肢が出るため、やり逃しがあっても簡単に戻れる仕様でもある。
([spoiler]ニョロニョロの島から戻った後、ボートで再び島へ行けるかは未確認[/spoiler])
良い所
・ムーミンの世界と魅力を描き切っている
・難易度が低く遊びやすい
・すばらしいアートと音楽
・キャラクターの特徴やノリをつかんだ日本語訳
問題点
・チャレンジを求める人には向かないほど簡単
・ストーリーが短く、リプレイ性は無い
・収集物周りはやや面倒
34gMsi
2024年03月09日
・ムーミンを知らない人にもおすすめ
・雰囲気を楽しむお手軽ゲーム
※メインストーリーは短め
・グラフィック、BGM◎
PV通り、とにかく美しいです。
絵本「さびしがりやのクニット」の雰囲気に近いです。
・操作性◎
全体的に難易度やさしめ、アクションパズルとステルスゲームです。
ムーミン要素抜きでもゲームとして楽しく遊べました。
・セーブシステム△→○
オートセーブのみです。
最終決戦に向かった後は、オープンワールドに戻れなくなります。
→3/14アプデで修正されて戻れるようになりました!
サブクエストや実績は埋め尽くしてからメインを進めるのがおすすめです。
手動セーブかチャプターセレクトがつくと嬉しいです!
・ボリューム○
メインストーリーは短め。
内容自体はまとまっていて良いですが、値段的にもう少し量が欲しかったです。
サブクエストは数も内容もほどよい分量だと思いました。でも増えるのは大歓迎です。
マップは広め、探索系の実績はやり込めそうです。
・原作再現◎
ムーミンは作者トーベが直接手がけた小説・絵本・コミックスだけでも設定など少しずつ違いますが、本作は小説と絵本をベースに、コミックスの要素も上手く取り入れられています。
キャラクターを言葉で説明しすぎず、プレイヤーが直接体験できるのがとても良いです(画面放置で延々と話しかけてくるキャラ等)。
会話は翻訳された感もありますが、個人的には昔の海外作品らしさがあって趣と捉えられました。
総じて原作へのリスペクトをとても感じる素晴らしい作品でした!
(ネタバレ含)
メインストーリーは小説「ムーミン谷の夏祭り」がベースです。
モランの救済が描かれているのがとても嬉しかったです!
スノークのお嬢さんもメインストーリーに絡んでくれたらもっとよかったです、その場にいるだけでも良いので(小説版では脇役気味なので仕方ないかも)。
nantai
2024年03月08日
ムーミン谷を舞台にしたアドベンチャーゲーム。
パズルとかはあるけれど、難易度はかなり低めで誰にでも優しい出来。
ゲームとしてはストーリーに沿ったムーミン谷の探索がメインとなります。
特筆するところはなんといってもムーミンの原作の絵をそのまま取り出したかなようなグラフィック。
へにゃっとしつつ、鮮やかで、やさしい世界がとてもよく表現されてます。
このゲームは話として涙なくして観れない感動のストーリーがあるわけでもなく、
卓越したシステムや困難を乗り越えた達成感などがあるわけではありません。
ですが、力を抜いてプレイでき、絵本みたいな独特で素晴らしい表現を味わいつつ、どこかなんだかおかしいキャラクターやお話をニヤニヤしながら楽しめる、そんなゲームです。
ムーミンのゲームとしては100点に近いんじゃないでしょうか。
ただ欲をいうとスノークのおじょうさんはもっと出てきてほしかったな…(ムーミントロールの話じゃなくてスナフキンのお話だからしょうがないかな)
ムーミンの世界が、キャラクターが、お話が、どれかひとつでも好きならとてもおすすめです。
ムーミンを知らない人でも大丈夫、ビジュアルやキャラクターが気になったら是非。ここからムーミンの世界に入っていきましょう。